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ついに今週末から宮崎県でスタートとなる2019年ISAワールドサーフィンゲーム。

同イベントはCT(チャンピオンシップツアー)ランキングから選出されたCTサーファーも2020年東京五輪を目指すなら出場義務が課せられているので、これまでのISAイベント史上最も豪華な顔ぶれが揃います。

また、同イベントはオリンピック選考イベントとして3つある内の2つ目となり、選考基準が大陸ベースとなるユニークなイベントです。

今回の記事は、2019年ISAワールドサーフィンゲームの概要、そして日本人サーファーがオリンピック出場権を得るための条件に関するニュースをお届けします。


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ISAワールドサーフィンゲームとは

サーフィン界では国によりプロとアマチュアの線引きが異なるものの、アマチュアサーフィン最高峰イベントと呼ばれるISAワールドサーフィンゲーム。

アマチュアイベントと呼ばれる理由は、サーフィン界のワールドツアーであるCTに属するサーファーが一昨年までは出場できなかったため(アメリカではCT入りしてプロサーファーと呼ばれるケースもあり)。

原因としては、CTを運営するのがWSL(ワールドサーフリーグ)、ワールドサーフィンゲームを運営するのがISA(国際サーフィン連盟)と組織が異なり、WSLがCTサーファーに対して他団体によるイベント出場を基本的に禁じていたのです。

しかし、サーフィンをオリンピック競技に推し進めたのはIOC(国際オリンピック委員会)承認団体であるISAであったことから、ISAは自身のイベントをオリンピック選考イベントにすることに。

そこで、WSLとISAが手を組み、昨年からISAイベントへのCTサーファー出場をWSLが認め、さらには今年と来年のオリンピック選考となるISAイベントへの出場義務が生じたわけです。

2019年ISAワールドサーフィンゲーム

Photo: ISA / Ben Reed

日本の宮崎県を舞台に2019年9月7~15日に開催となる今年のISAワールドサーフィンゲーム。

55か国から240名のサーファーが出場するという同イベントの過去最大規模となります。

一部CTサーファーも出場した昨年と異なり、今年はCTランキングから選ばれたCTサーファーは出場しなければならないので、昨年と比べて一気にレベルが高くなります。

ちなみに、CTイベントは男女同時開催の場合、メンズが36名、ウイメンズが18名の計54名なので、どれほど規模が大きいのか分かりますね。

逆に言えば、オリンピックは男女ともに20名ずつの参加なので、オリンピック出場がいかに狭き門なのかも分かります。

各国の出場サーファーリストは、以下のリンク先からチェックして下さい。

各国リスト

オリンピック選考としての2019年ISAワールドサーフィンゲームの位置付け

Photo: ISA / Sean Evans

オリンピック選考基準には、CTランキングと3つの選考イベントが設けられ、一つの国から3名以上(男女別)のサーファーがオリンピック出場基準を満たした場合、各国男女別で上限が2名なので(例外で3名という文言もありますが…)、それぞれ割り振られた階層の高い選考基準が優先されます。

その階層が以下の通り。

1. 2019年WSLのCT(チャンピオンシップツアー)ランキング

2. 2020年ISAワールドサーフィンゲーム

3. 2019年ISAワールドサーフィンゲーム&2019年パンアメリカンゲーム

特別枠としてホスト国枠

少し分かりにくいと思うので例を挙げると、最も階層の高い2019年CTランキングでブラジル人サーファー2名にオリンピック出場権が与えられれば、2020年ISAイベントで上記2名以外のブラジリアンが優勝してもオリンピック出場権を得られないというわけです。

さて、選考イベントで興味深い点は、2020年ISAワールドサーフィンゲームではメンズがトップ4、ウイメンズがトップ6の結果を残したサーファーがオリンピック出場権を獲得。

一方、3番目の階層となる今年のISAワールドサーフィンゲームは、「アフリカ」、「アジア」「ヨーロッパ」、「オセアニア」の4つの大陸の中で最上位となったサーファーにオリンピック出場権が与えられるユニークなシステム。

ちなみに、「アメリカ」が含まれていない理由としては、アメリカ大陸のサーファーのみを対象とした2019年パンアメリカンゲームが別途行われたためです。

2019年パンアメリカンゲームは先月8月に終了し、男女共にペルー出身サーファーが優勝を果たしています。

この話の流れから気付いた方もいると思いますが、アメリカやブラジルといったアメリカ大陸のCTサーファーは、今年のISAワールドサーフィンゲームに出場義務はあるものの、優勝してもオリンピック出場権には一切関係ないのです。

ケリー・スレーターが出場をあやふやにしていたのは、実はこの辺りの事情もあったのかもしれません。

オリンピック選考基準の詳細については、下記リンク先からチェックして下さい。

日本人サーファーがオリンピック出場権を得るには

Photo: ISA / Ben Reed

メンズ

ここからが本題ですが、日本人サーファーのオリンピック出場に関して、基本的にホスト国枠があるので男女1名ずつは確実に出場できます。

ただ、できれば各国の上限である2名出場してもらえればベストです。では、2名ずつ出場するには!?

現時点において、日本人で唯一のCTサーファーである五十嵐カノアは、CTランキングからすでにオリンピック出場権を得たといって間違いないでしょう。

メンズのCTランキングからはトップ10が出場権を得られ、カノアの現CTポイントはCTランク10位となった昨年とほぼ同等。

また、アメリカやブラジルなどトップ10に3名以上入れば、出場権を得るのは2名だけで、3番手となったサーファーの枠はCTランク11位以下が繰り上げとなります。

昨年のCTランクを例に挙げると、上位にアメリカ、ブラジル、オーストラリアのサーファーが多数いて、実質CTランク16位まで繰り上げとなるためです。

via WSL

カノアのように自力でオリンピック出場権獲得になると、ホスト国枠は消滅します。となると、日本代表候補となっている大原洋人と村上舜は今年か来年のISAワールドサーフィンゲームで出場権を得る必要があります。

来年のISAイベントで出場権を得るにはトップ4に入らなければならず(ホスト国枠が消滅したらトップ5まで)、CTサーファーの存在を考えるとかなりハードルが高いのが現実。

しかし、今年のISAイベントであればアジアの中で最上位になれば良いので、かなりハードルが下がり現実的と言えます。

アジアの中でメンズで最大のライバルとなるのは、和井田理央やオニー・アンワーといったCTイベント出場経験者を有するインドネシア。

そのため、インドネシア勢のヒート結果も併せてチェックしていけば、より面白くコンテスト観戦ができると思います。

ウイメンズ

ウイメンズの日本代表候補としてISAイベントに出場するのは、前田マヒナ、松田詩野、脇田紗良の3名。

ウイメンズの場合、アジアの中で日本人サーファー以外で世界を回っているサーファーはほぼ皆無なので、個人的には今回のISAイベントで日本人サーファーがアジア最上位となってオリンピック出場権を獲得すると思います。

となると、ホスト国枠が消滅し、もう一人がオリンピック出場するには来年のISAイベントでトップ6に入る必要があります(ホスト国枠消滅ならばトップ7)。

個人的には、メンズは2名揃ってオリンピック出場の可能性はあり得ますが、ウイメンズに関してはかなり厳しいかと思います。

現実問題として、詳しい方はご存じだと思いますが、ウイメンズのCTとQSサーファーでは相当実力の差があります。

ウイメンズCTで翌年のワールドツアー残留条件であるトップ10入りを逃すCTサーファーでも、QSでトップ6入りしてツアー残留を決めるサーファーが大半。

そのため、QSからニューフェイスでCT入りするサーファーは毎年1~2人程度という少数の入れ替えです。

サーフィンは波運に左右されるスポーツであり、ウイメンズQSイベントはワールドクラスのサーフスポットで開催されることはほぼないので、波運の要素は必然的に高くなります。

それでもなお、ニューフェイスが台頭することが限りなく少ない現実を見れば、実力差が相当あることは明らかです。

そのため、CTサーファーが大挙する2020年ISAイベントでの上位入賞は難しいと言うわけです。

これだけ言いながらではありますが勝負は水物。可能性はゼロではないので頑張ってもらいたいところです。

まとめ

再三になりますが、今年のISAイベントで重要なポイントは日本人サーファーがアジアの中で最上位の結果を残すことに。

もちろん優勝を目指してもらいたいのですが、アジア各国のサーファーも意識しながらライブ観戦してみてはいかがでしょうか。

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公式サイト「2019 ISA World Surfing Games