サーフィンをするために海に入り最も行うことになるパドリング。
ですが、パドリングが遅いとかすぐに疲れるといった悩みを持っているサーファーも多いのではないでしょうか。
私もそんなサーファーの一人でしたが、30代の時に一念発起して理論的に水泳のクロールを勉強し、学びをプールで実践することでパドルの悩みを解消しました。
今回の記事は、私がパドリングを実際に改善させたプールでのトレーニング方法についてシェアします。
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トレーニング以前の状態
海の近くに暮らしているわけではないので、海へ行く頻度によってパドルの体力が左右されていた以前。
週に1~2回とコンスタントに海に行けると体力はマシだったのですが、とにかくパドルが遅かったです。
幼い頃からガッツリと水泳をやっていた兄と海に行くと、一緒にパドルアウトを始めてもかなり差を付けられていましたし。
その当時もパドル改善を目指してプールへ行った時期もあったのですが、理論的なゴール設定がなくがむしゃらに泳ぐだけだったので全く成果はありませんでした。
だったのですが、コロナ禍前の3年ほどは3カ月置きくらいに海外へとサーフトリップするようになり、日本ではサーフィンしないのでトリップ初日から数日はパドルが辛くてしょうがない。
そこで本格的にネットで水泳の情報を読み漁りながらプールへと通うことになりました。
パドリングの種類とゴール設定
サーフィンにおけるパドリングが2種類あるということは良く言われていて以下の通り。
*波に乗る時の全力パドル
*パドルアウトやパドルバック時のリラックスパドル
全力パドルは波に乗る直前の10秒以下程度であるため、トレーニングでフォーカスするのはリラックスパドル。
さて、ここでトレーニングのゴール設定を記しておきます。
水泳でもパドルでも基本的に水をキャッチしプルすることで推進力を得るので、キャッチが一番のポイントになります。
これは何が難しいかと言うと、全力パドルだとスピードが早いと言うことは抵抗が増すので簡単に水をキャッチ(手の平に水の抵抗を感じること)できますが、力を抜いているとなかなかキャッチできないのです。
これを最速で可能にするには知識を持って経験することで、やり方を知った上で何度も実践して体に覚えさせるしかありません。
パドルで使う水泳テクニックのキーワード
クロールで水を漕ぐストロークには2種類あり、遠泳向きのリラックスパドル時はS字ストローク、全力パドルはI字ストロークとなります。
上記2つのストロークに加え、ストローク中に肘を立てる(ハイエルボー)ことで手の平だけではなく、前腕部分でも水をキャッチすることができるようになります。
前腕で水をキャッチできているかどうかの確認方法は簡単で、ストローク時に最も水をキャッチする手の平をグーにしてキャッチできないようにするのです。
そしてストロークしてみて、前腕部にも水の抵抗を感じればキャッチできています。試しにハイエルボーにしないでストロークしたところ、前腕部で水をキャッチできませんでした。
ちなみに、パドル講座などでパドル時にサーフボードの下に手の平を通すといった説明がありますが、ハイエルボーにすると肘を曲げるので手の平は体の内側を向くことになり、自然とサーフボードの下を通ることになります。
ここまでで、「S字ストローク」「I字ストローク」「ハイエルボー」と3つのテクニックを挙げ、練習する事になるのは「S字ストローク」と「ハイエルボー」です。
「I字ストローク」はハイエルボーでほぼストレートなストロークなのですが、パドルにフォーカスするならば「S字ストローク」だけに注力して下さい。
「S字ストローク」でしっかり水がキャッチできるようなレベルになれば、自然と「I字ストローク」でもスピードアップするようになりますので。
実際のテクニックを学ぶためには、ネット上に山ほど水泳経験者や指導者による解説が存在するので、自身で検索して調べて下さい。
と言うのも、私がこれだと思う特定のチュートリアル動画を貼り付けたとしても、人によっては相性が合わないケースがあるためです。
自分の知識量や経験値、そして解説する人の教え方などにより理解度には差が出るので、一つのチュートリアルに固執せず、出来る限り多くの情報に触れた方が成長速度を加速させてくれます。
具体的なプールトレーニングの流れ
ここからは私の実体験を交えながらトレーニングのロードマップをシェアしていきます。
パドル改善までの目安の期間は3カ月で、1回のトレーニング時間は30~40分ほどで週に3~4回ほど出来ればベストです。
スタートから2~3週目
前提としてこのトレーニングを行う方は、レベルは一切問わないもののクロールが出来る方になります。
以前の私のようにパドルが遅くすぐに腕が疲れてしまうサーファーであれば、プールで25メートルや50メートル泳ぐだけでも息が上がったり疲労を感じると思います。
これは完全に無駄な力が入って力み過ぎているので、まずは体を慣れさせるために疲れたら休んでもいいので、とにかく30~40分泳いで体を慣れさせましょう。
2~3週目までの目標としては、タイムは問わず500メートル(25メートルプールを10往復)ほど休憩なしで泳げるようになれば上出来です。
この時期はやればやるほど、確実に1度に泳げる距離が伸びてくるので、モチベーションが上がりやすいです。
まだ初期の時期ではあるものの、この時期から積極的にクロールの泳法に関する情報に触れておきましょう。
泳法を調べれば必ずキックについての情報も出ますが、パドル力改善を目標にしているのならばキックは気にせず、ストローク情報収集に注力を注いだ方がベターです。
私もパドリング強化のためだけにプールに行くので、キックは下半身が沈み出した時に浮上させる程度にしかしませんし。
2~3週目から8~10週目辺り
この時期は停滞期があったりしながらも、泳法の細かい点を学んで実践していけば必ずや手の平で水をキャッチ出来るようになる時期。
泳ぎに慣れたら1回のトレーニングで1.5~2キロくらいは泳ぐようにして下さい。
泳法については「S字ストローク」と「ハイエルボー」をメインに挙げましたが、学ぶことになる細かい点は多々あります。
私は初期の時期に水中に顔を沈めている時に完全に息を止めていたのですぐに呼吸が苦しくなっていましたが、水中で軽く息を吐き出すことで呼吸が楽になることを知りました。
後に知った点として、人間は酸素を吸い、二酸化炭素を吐くというのは多くの人が知っている事でしょう。
体内で酸素が減少する事で二酸化炭素が発生するのですが、息止めをすると酸素が減ったことで呼吸が苦しくなると考える方が多いと思います。
なのですが、実は二酸化炭素が体内で増えることで呼吸が苦しくなるので、泳いでいる時に軽く鼻か口から息を吐いて二酸化炭素を出すと呼吸が楽になります。
呼吸以外では、ストローク時の体のローリングや息継ぎでの頭の上げ方などクロールを上達させる上での細かい点は多々あるので、ネットで知識を増やしながら実践していって下さい。
私はこの時期、休憩しないで遠泳できるようになった嬉しさから、週5~6回ペースで1日に2キロ(25メートルプールを40往復)ほど泳いだりとやりすぎて肩を痛めましたので、泳ぎ過ぎは禁物です。
10代などの若い方ならば体が柔軟なので問題ないでしょうが、あくまでもこのサイトのマジョリティである社会人の週末サーファーは要注意です。
8~10週目~ラスト12週目
この時期になればある程度水をキャッチできるようになっているので、ストローク時に使う筋力アップのメニューを取り入れます。
サーフィンのパドルに筋力は必要ないとの意見を耳にすることはありますが、プロサーファーやスイマーの体つきを見れば、胸筋や肩幅が発達しているのは一目瞭然なので最低限の筋力は必要です。
私は前述しましたがコロナ禍以前、3カ月毎に約1か月の海外サーフトリップをしていて、日本滞在の3カ月間は一切サーフしないので、サーフトリップ1か月前からプールで必要な筋力アップのトレーニングをしていました。
2カ月振りとなると使ってなかった筋肉は当然衰えているのでトレーニング開始直後はキツイのですが、1か月という期間で約週3日に30分ほどのトレーニングをすれば元に戻せます。
トレーニングメニューは、過去に記事にした下記リンク先を参考にアレンジしていて、以下のメニューとなります。
2.100メートルダッシュを30~60秒インターバルで5~7回(当初は150メートルにしましたが体力が尽きて意味がないので、ギリで体力が持つ100メートルに設定)
3.クールダウンでクロール50メートルと平泳ぎ50メートル
まとめ
パドリングとは手と腕を使って推進力を得ること。
なのですが、ネット上にはサーフィンのパドリング講座は山ほどありますが、サーフボードのどの辺りに乗るなどといった補足情報が大半で、パドル自体の情報がなかったので記事にしてみました。
最後に私自身にも触れておくと、力を入れないので疲れにくいリラックスパドルを覚えてからは2キロとか休憩なしで泳げるようになったので、ラインナップまで10分ほどのサーフスポットなんかは昔は苦手でしたが、今は全く気にならなくなりました。
タイムに関しては、壁でのターンではパドルトレーニングのために軽くしか蹴らず、完全に力を抜いたストロークであまりキックはしない泳ぎで500メートル(25メートルプール10往復)8分強といったところ。
元水泳日本代表の方のブログで遠泳となる1.5キロの平均タイムが記載されていて、私は1.5キロで24分強ほどであり21~30分は中級者とのこと。
ちなみに、現役スイマーやトライアスロンのエリートクラスは15~20分だそうです…。
もっとトレーニングを積めば上達するのは分かっていますが、サーフィンのパドルとしては十分なので、後はキープするに留めています。
最後に、この記事を読んでくれた方で実際にパドルが改善する方が出てくれれば嬉しく思います。