先日開催されたパイプマスターズでの活躍が記憶に新しい今季ツアールーキーの五十嵐カノア「Kanoa Igarashi」(19歳)。
パイプマスターズでの準優勝によりカノアのWCTランクは20位となり、来季ツアー残留資格のトップ22入りを果たしただけでなく、イズキール”ジーク”ラウの来季ツアー入りに加え、ジョンジョン・フローレンスのトリプルクラウン制覇にも貢献することに。
ハワイイベントにおいてハワイ出身のジークとジョンジョンをサポートしたとあり、WSLでは「カノアはハワイアンにとってヒーロー」とも報じていました。
今回の記事は、パイプマスターズでヒーローとなった五十嵐カノアの当時の心境、ケリー・スレーターとのヒートの裏話を語った米サーファー誌のインタビュー記事を交えた内容をお届けします。
スポンサーリンク
*パイプマスターズで突如キーパーソンとなることに
ハワイでのコンテストシーズン前のカノアのWCTランクは24位。しかし、WQSランクですでに来季ツアー残留を確定させていたので、リクオリファイのプレッシャーが無い状態でパイプマスターズに臨めるはずでした。
五十嵐カノアが2016年QS6,000イベント@ブラジルで優勝!今季二勝目でWQSランクトップへ
「パイプでのサーフィンを楽しみにしてたんだ。プレッシャーのない気楽な状態だったから。でも、サンセット(トリプルクラウン第二戦)が終わってジークがWQS11位で注目が集まると、自然と(ダブルクオリファイの可能性がある)僕に注目の対象が移ってきた。気楽なコンテストから一転、スーパーシリアスになっちゃったね」。
五十嵐カノアがキーパーソン!パイプマスターズに委ねられた親友ジークの運命は?
ジークとジョンジョンがカノアの活躍に助けられた一方、WCTトップ22のボーダーラインにいたナット・ヤングとキアヌ・アシンは、ツアー脱落という厳しい結果となったのも事実。
「ジークのツアー入りは嬉しい反面、ナットやキアヌとも仲が良いから感情が入り乱れたよ。でもね、最終的にはこう考えるようにしたんだ。『コンテストで勝つのは自分のためで、僕はパイプマスターズで優勝したい。これまでコンテストで海に入る時は、常にそんな心構えでいたじゃないか』って」。
*ジークとジョンジョンの運命はカノアの結果に
様々な葛藤を乗り越えて挑んだパイプマスターズ最終日。最初の山場となったのはジョーディ・スミスとのクオーターファイナル。クオーターを勝てばジークのツアー入りが決まる重要なヒート。
さらに言えば、ジョーディがカノアを下した場合、ジョーディがトリプルクラウンの総合ポイントでジョンジョンを上回り、ジョンジョンのトリプルクラウン制覇は消滅することに。
多くのハワイアンファンからの期待を背負ったヒートではありながら、カノアはほぼパーフェクト10と言えるスコアをマークして勝利。ジョンジョンもカノアに感謝したことでしょう(笑)。
*ケリーとのセミファイナル
そして迎えたケリーとのセミファイナル。この時点でカノアが目指すは優勝のみだったと思いますが、トリプルクラウンのタイトルレースとしては、ケリーが優勝すればトリプルクラウンのチャンプへと大逆転を果たすことになるので、誰よりもジョンジョンが注視していたはずのヒート。
カノアの大逆転劇はすでにご存知だと思いますが、相当ミラクルな展開でした。ヒート終了間際、結果的には6本のセットが入り、カノアが乗ったセットは5本目。
あの日はそれだけまとまった本数のセットが入ることはなかった上、カノアが波に乗ったのはヒート時間残り一分を切ってのこと。まさにドラマのような展開だったと言えます。
「セットが入り始めた時、波待ちしながら『もしかしたらチャンスが来るかも!』って思ったよ。でも、最初の4本はクローズアウト。僕はバックドア近くにステイしてて四六時中波チェックしてるから、ミラクルを起こすのに必要な波は熟知していて、最初の4本は見送ったんだ」
「5本目はドリームウェイブだった。出来る限りディープなポジションを攻めてメイクした時は、ちょっとしたショック状態だったけど、必要なスコアが出るって分かってた」
「インサイドにはケリーがいて笑顔を向けてくれたから、思わず笑いだしたよ。だって、最高にクレージーな瞬間だったからね。自分のヒーローが一部始終を見てくれて、微笑んでくれてるんだよ」
「ケリーは確か『かなりの僅差じゃないかな』みたいなことを口にしてたと思うけど、正直言って、海から上がってビーチを歩いている時の記憶さえも抜けてるんだ」。
セミファイナルでカノアがケリーを破った時点で、ジョンジョンのトリプルクラウン制覇が決定。ジークとジョンジョンの二人の結果を大きく左右しましたね。また、最後の最後で、今季一番の見せ場を作ってくれました。
*まとめ
私もイベント最終日のカノアの活躍には何度も鳥肌が立ち、コンテスト観戦では滅多にないほど興奮させられました。来シーズンの五十嵐カノアのさらなる活躍に期待せざるをえないフィナーレだったのではないでしょうか。
参照記事:「KANOA IGARASHI: DREAM MAKER, HEART BREAKER」
*パイプマスターズのセミファイナル(五十嵐カノアの大逆転シーン)
https://youtu.be/KmzkfuQP9pI?t=2h27m11s
*2016年パイプマスターズの過去記事は、下記リンク先からチェックして下さい。
16歳が優勝のパイプトライアル!いよいよ始まるパイプマスターズのヒート表や波予報など
マニューバ勝負となった2016年WCTメンズ最終戦「パイプマスターズ」初日