今年多発したシャークアタックの影響から、州政府レベルでサメ対策に乗り出す事となったオーストラリアNSW(ニューサウスウェールズ)州。
しかし、ヘリコプターによる監視体制を敷いてサメを目撃したにも関わらず、それほどビーチには近付いていなかったからという理由から情報公開が行われなかったケースが発生。
市民側としては、観光客減少を恐れてのことだとの強い非難の声がありました。今回の記事は、そんなオーストラリアにおいて、サメの目撃談の情報を集めるアプリが誕生したのでお届けします。
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アプリを製作したのは、州政府ではなく民間。実は今年8月、TAS(タスマニア)州において、ダイバーが娘の目の前でホホジロザメによるシャークアタックに遭い、命を落としました。
後に判明したのですが、事故前日、漁師のグループが事故の発生したエリアでサメを目撃していたにも関わらず、情報を拡散する手立てがなかったのです。もしも、被害者となったダイバーに情報が伝わっていれば、そのエリアでのダイビングを避け、命を落とすことはなかったかもしれません。
そこで、アラン・ベネットはサメの目撃談を集約するアプリ製作に乗り出し、先日、アプリ「Dorsal」を公開するに至りました。同アプリは、GPSを使って現在地周辺エリアのシャーク目撃情報、またはホームブレイクなど設定したエリアのシャーク情報を即座に入手することが可能。
アプリ利用者は情報をチェックするだけでなく、自分がサメを目撃した場合は、アプリを通じて詳細な情報や写真などを送信することできます。目撃情報を送信した場合、アプリ側のチームへと情報が届き、同チームがすぐさま情報を精査し、場合によっては情報提供者と連絡を取ってさらなる詳細を聞き出すこともあるそう。
その後、情報の真偽が定かであると認められると、アプリ、ウェブサイト、フェイスブック、ツイッターなどで一斉に情報がアップされることになります。
このアプリですが、政府もヘリコプターによる監視体制を敷いているので、ヘリからの目撃情報なども同アプリで共有されれば、利用者にとって嬉しいですよね。
しかし、アランは何度か政府にアプローチをかけているのですが、政府からは一切反応がないとのこと。政府に対し、無償での提供を訴えているにもかかわらずです。この辺は、どの国であっても民と官の複雑さが同じであることが分かりますね。
さて、Dorsalですが、今後はドローン企業などといったパートナーを増やしていき、さらなる情報収集に力を入れると共に、SMS(ショートメッセージサービス)など情報拡散の手段を増やしていくと言います。また、現在はオーストラリア国内のみの情報に限定されていますが、良きパートナーさえ見つかれば国外のエリアもカバーするとのこと。
個人的な意見としては、こういった動きは政府が主導することで情報を一元化すれば、利用者としては使いやすいのでありがたいと思います。仮に、Dorsalのようなアプリが増え、情報が一元化されなければ、サーファーは海に入る前に山ほどアプリをチェックしなければならない事態も考えられるので・・・。
Dorsalは下記リンク先からダウンロード可能。
・iOS版