先日、ワールドツアーを運営するASP(Association of Surfing Professionals)が、2015年度からWSL(World Surf League)へと名称変更するとの発表を行いました。ASPという名称は、ASPの前身団体であったIPS(International Professional Surfers)から1982年に変更したものなので、大きな変化と言えます。

変更理由としては、ファン、アスリート、パートナー企業にとって分かりやすい名称にすることで、世界的にプロサーフィンのスポーツとしての地位を高めることにあるそう。しかし、なぜそこまで大胆な改革に踏み切ったのか。それには、しっかりとした理由があります。

2012年10月、Zosea Media Holdingsという企業が財政難のASPを買収しました。そのZoseaを立ち上げたのは、元クイックシルバー役員のポール・スピーカー、そして、ケリー・スレーターのキャリアマネージャーのテリー・ハーディ。

ポールはバリバリのビジネスマンといった感じで数々の企業を渡り歩き、元NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)役員も務めた経験があるので、スポーツマネージメントに長けていると思います。一方のテリーは、サーフ業界に精通しているので、二人は手を組んだのでしょう。

サーフィンの世界は、基本的にサーファーが主体となって構成されていると言われていました。そこで、ポールはマネージメントを担うべく、ASPのCEOに就任しました。それから二年ほど経った現在、傍から見ての変化はいくつかあります。

ライブ中継やYoutube動画のCMが増えた、ウイメンズのイベント開催地が増えた、各ツアーイベントスポンサーではなくてASPのワールドツアー自体にサムスン電子のスマートフォン「ギャラクシー」がスポンサーとなった、アンダーグランドだったビッグウェイブのワールドツアーを買収したなど。

当然ビジネスなので、ZoseaとしてはASPをもっと上手く運営すれば、もっと稼げるのにと思って着手したと思います。少しいやらしく感じる方もいるかと思いますが、サーフィンの世界によりお金が流れば、イベントの優勝賞金も上がってくると思うので、選手にとってもプラスになります。

サーフイベントでの過去最高の優勝賞金は、日本円でおよそ1,000万円ほどだったと思います。一方、錦織選手の活躍で盛り上がったテニスの全米オープンの優勝賞金はおよそ3億円、準優勝となった錦織選手の賞金は1億5千万円ほどでしたね。

この差を見るだけでも、いかにサーフィンがアンダーグランドなスポーツなのかが分かります。アンダーグランドだからこその魅力もあるので、難しい所ですが。

何はともあれ、来年以降、Zoseaがどのようなビジネス戦略で、プロサーフィンを世界中で価値のあるスポーツとして高めていくのかは気になるところ。ちなみに、ワールドツアー自体やウェブキャストによるライブ中継については、これまで通りとの事なので一安心。テニスの時のよう、WOWOWといった有料チャンネルでしか見れないとなると、残念ですからね。

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