世界トップレベルのコンテストサーファーが集い、しのぎを削るWCT(ワールドチャンピオンシップツアー)。当然ながら、期待されるのは世界最高峰のパフォーマンスです。
ウイメンズを例に挙げれば、昨年のロキシープロでシルヴァナ・リマがメイクしたエアリバースにはパーフェクト10が付きました。こうなれば、ウイメンズもエアーは必須とばかりに、さらなるレベルアップを図るサーファーが増えます。
2015年WCTの名シーン1:エアリバースをメイクしたシルヴァナ・リマ
しかし、今年のロキシープロでは五日目ハイライトでも触れましたが、ジョアン・デフェイが難易度の高いリスキーなマニューバをメイクしたのに、スコアはわずか7ポイント台。一方、似たようなターンを繰り返したブロンテ・マコーレーが10ポイントに近いスコアを出したりと首を傾げたくなる状況が見受けられました。
2016年WCT初戦「クイックシルバー&ロキシー・プロ・ゴールドコースト」:五日目ハイライト
今回の記事は、そんなWCT初戦をチェックしていたマウイ島出身フリーサーファーのアルビー・レイヤー「Albee Layer」(24歳)が、SNSでWCTの現状について思いの丈をぶつけた内容についてお届けします。
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まずは軽くアルビー・レイヤーが何者なのかについてから。一般的なWQSイベントには出場しないフリーサーファーです。ただ、特別イベントには出場。
昨年は、イギリスのウェイブプール「サーフ・スノードニア」でのイベントに出場し、全く同じ波で勝負するウェイブプールなので、会場に訪れたジョーディ・スミスが「実力が上のサーファーが絶対に勝つ」と言い切ったイベントで優勝。
ウェイブプールで開催されたサーフイベント2015年度「レッドブル・アンリーシュド」
また、昨年はマウイ島ジョーズで開催されたBWT(ビッグウェイブツアー)イベントに出場し、準優勝しています。つまり、オールラウンドな実力において、ジョンジョン・フローレンスに匹敵する存在。
2015/2016年シーズンBWTイベント「ピアヒ・チャレンジ」:ハイライト
こういった実績からも凄さが分かりますが、さらに言えば、誰もメイクしていなかったアーリーウープ540をメイクしたり、ジョーズのインサイドボウルでバレルをメイクしたりと、サーフィンのレベルをプッシュし続けているサーフィンに熱い存在なのです。だからこそ、アルビーなりに思うことがあったのでしょう。
そんなアルビーがSNSで発した内容は以下の通り(ユーザーネームは「johnjohn_slater」とフザケてますが本人です)。
スナッパーのWCT初戦を見ての所感
1. 進化も見込めない70%の力しか入れないサーフィンを見て、なんでギャラリーは興奮できるんだ。
2. WCT関係者の80%は、エアリアルの違いを理解してない。フルローテーション、エアリバース、シングルグラブ、ダブルグラブは全くの別物で、難易度のレベルも違う。それに、着地も重要なポイント。
3. いわゆるベテラン、それにフィンアウトがやっとのサーファーのライディングは、進化とは真逆の退化。
4. コンテストは一部サーファーのベストサーフィンを引き出すけど、真のポテンシャルを阻止されてるサーファーもいる。
アルビーのコメントは非常に辛辣ではありますが、的を得ていると思います。前述したジョアンとブロンテの例を見ても、ジョアンみたいにワイプアウトする確立の高いリスキーなマニューバを入れても、無難なターンを繰り返した方がハイスコアが付くなら、革新的なマニューバを取り入れようなど、誰も思わなくなりますし。
今シーズンの初戦では、現在は怪我のリハビリに励むビード・ダービッジがジョンジョンのコーチを務めました。コーチングを受けたジョンジョンは「コンテストは70~80%の力で波に乗れば良いんだ」とコメント。
誰もが無難なサーフィンに徹するようになれば、アルビーの言うよう、コンテストにおけるサーフィンのレベルアップは望めなくなると思います。
果たして、今回のアルビーの発言がコンテストサーフィンに一石を投じることになるのか楽しみです。確実に7~8ポイント台を狙うサーフィンより、パーフェクト10を狙えるぶっ飛びサーフィンの方が見ていて面白いですからね。
アルビー・レイヤーの過去記事は、下記リンク先からチェックして下さい。
ジョーズ史上最もディープなバレル!エディ欠場のアルビー・レイヤーがエディ当日にメイク
アルビーがエアーで片足を抜く妙技ありのマウイ島ローカルによるサマーセッション