現地時間2021年9月14日(カリフォルニア)、ワールドチャンピオンを決定する1日限りのイベント「WSLファイナル」が開催。
同イベントは2021年レギュラーシーズンにおいて男女共にトップ5入りしたサーファーのみが参加となる最終戦でした。
イベント結果としては、レギュラーシーズンのCTランクトップであったガブリエル・メディナとカリッサ・ムーアが2021年ワールドタイトルを獲得しました。
今回の記事は、WSLファイナルのイベントレポートや動画などといったニュースをお届けします。
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ウイメンズのイベントレポート
CTランクトップ5の中で下位同士のマッチアップからスタートという事で、マッチ1を飾ったのはCTランク5位のジョアン・デフェイとCTランク4位のステファニー・ギルモア。
同ヒートのファンによる結果予想では、実に75%がステフの勝利を予想していましたが、ジョアンが戦略勝ちと言える勝利を手にすることに。
朝一のローワーズのセットはブレイクが早く、ミディアムサイズの方が形が良く、どちらかと言うとレフトの方がベターなコンディション。
ステフは自分で口にしていますが、ライト天国のゴールドコースト辺りがホームであることから、レフトは苦手とありローワーズでもライト狙い。
一方のジョアンはライトが厳しいと早めに判断し、レフトに的を絞ってミディアムスコアを積み重ねることに。
結果的にステフはミディアムスコアさえマークすることができずに敗退を喫しました。
マッチ2の対戦はマッチ1を勝ち上がったジョアンとCTランク3位のサリー・フィッツギボンズ。
このヒートのファンによる結果予想は、サリーの勝利が51%と拮抗することに。
同ヒートではサリーとジョアンがそれぞれ4本ずつ波に乗っただけと波選びがポイントとなり、良い波をピックアップしたのがサリー。
まずはミディアムサイズの波で4.50をマークし、その後は本日のライトのセットでは珍しいショルダーが張ってロングライド可能な波にテイクオフ。
その波で見事なまでのレールゲームを見せることで6.83をマークし、ジョアンに勝利することに。
マッチ3では、マッチ2を勝ち上がったサリーとCTランク2位のタティアナ・ウェストン・ウェブとの対戦。
ベテランのサリーはとにかく波選びが上手く、早い段階でミディアムスコアを2本揃えてリードすることに。
一方のタティはミディアムスコアの5.17をマークしたものの、バックアップスコアを揃える事ができず、サリーにリードを許したままヒートは終盤へ。
ヒート残り時間10分を切った時点で、タティが逆転に必要なスコアは6.56と自身のシングルハイエスト以上のスコア。
そんな中、ヒート残り9分で形の良いライトのセットを掴み、エンドセクションまでしっかりと乗り切り、コールされたスコアは8.00。
このエクセレントレンジが決め手となり、タティがマッチ3を勝ち上がりました。
マッチ3を勝ち上がったタティが、タイトルマッチで対戦となったのはCTランク1位のカリッサ・ムーア。
同ヒートのファンによる結果予想は、カリッサが51%と僅差となっていました。
タイトルマッチのヒート1が動いたのはヒート中盤で、カリッサがエクセレントレンジとなる8.33をマークすると、すぐにタティが7.33をマーク。
両者ともにバックアップスコアは5ポイント台のミディアムスコアだったので、バックアップスコアを底上げできるかがヒート後半のポイントとなりました。
ヒート残り10分を切ったところで動いたのがタティで、タティはバックサイドで6.93をマークしてカリッサを逆転。
リードを奪われたカリッサはその後もバックアップスコアを上げる事ができず、ヒート終了間際にはタティが7.87をマークしてさらにスコアを伸ばし、ダメ押しでヒート1を勝利しました。
ヒート2ではカリッサがヒート序盤に8.93のエクセレントレンジをマーク。
タティは7.93を皮切りにラストライドでは7.67もマークしたものの、カリッサはラストライドで再びの8ポイント台をマークしたことで二人の対戦はヒート3へもつれ込むことに。
とても興味深い点として、メンズではライトとレフトの両方乗っているのでレフトも割れているはずなのに、ウイメンズのタイトルマッチはこれまでライトしか乗られていません。
おそらくカリッサはフロントが得意なのでライト狙いで、タティはフロントになるレフトを狙うとカリッサと比較されるので、敢えてバックサイドのライト狙いなのだと思います。
バックサイドならばクリティカルセクション狙いでスコアが出やすいという点も考えてのことでしょう。
ヒート3では、ヒート前半でカリッサが8.00と7.00を揃えて安定したサーフィンでリード。
タティもヒート中盤に8.03をマークして追い上げるものの、カリッサは残り16分ほどまだまだ中盤にダメ押しとなる8.60をマークして大きくリードを広げることに。
追うタティはヒート終盤に良いライディングをしたものの、エンドセクションでワイプアウトしてしまいコールされたスコアは6.17。
その結果、カリッサは2021年ワールドタイトルを獲得し、5×ワールドチャンピオンに輝きました。
カリッサはヒート1での敗退以降、ヒートでのアベレージスコアを上げていたところを見ると集中力が増したと見られるので、タイトルマッチの3ヒートは絶妙なバランスなのかなと感じました。
ワールドタイトルを獲得したカリッサのコメントは以下となります。
長いシーズンで、とても長い一日だった。
予定通りのスタートにならなかったけど、戦い抜いた末に手にした勝利はいつもよりも喜びが増したわ。
ファーストヒートに敗れた直後は心が折れそうになったけど。
これまでのワールドタイトル確定の瞬間を海の中で経験したことがなかったから、その点も余計にスペシャルだったし、これ以上望むものは何もないわ。
イベント結果
Women’s Match 1: Johanne Defay (FRA) 12.17 DEF. Stephanie Gilmore (AUS) 6.70
Women’s Match 2: Sally Fitzgibbons (AUS) 11.33 DEF. Johanne Defay (FRA) 6.66
Women’s Match 3: Tatiana Weston-Webb (BRA) 13.17 DEF. Sally Fitzgibbons (AUS) 11.73
Women’s Title Match, Heat 1: Tatiana Weston-Webb (BRA) 15.20 DEF. Carissa Moore (HAW) 14.06
Women’s Title Match, Heat 2: Carissa Moore (HAW) 17.26 DEF. Tatiana Weston-Webb (BRA) 15.60
Women’s Title Match, Heat 3: Carissa Moore (HAW) 16.60 DEF. Tatiana Weston-Webb (BRA) 14.20
メンズのイベントレポート
メンズのマッチ1はCTランク5位のモーガン・シビリックとCTランク4位のコナー・コフィン。
同ヒートのファンの結果予想は、意外にもツアールーキーのモーガンが54%とコナーを勝っていました。
さて、ウイメンズが先行で交互に開催という流れで、ウイメンズのマッチ1ではライトのセットは難しく見えたものの、メンズでは良さそうな波に見えることに。
ライトのセットはクローズアウトしてしまう波もあるもののメンズはコンスタントに複数回のターンを入れていたので、ウイメンズとは波選びの差なのか、ライディングスピードの差なのか分かりませんが、明らかに何らかの違いがあると感じました。
そしてマッチ1ではレールゲームの深さが勝っていたコナーが勝ち上がりました。
マッチ2はマッチ1を勝ち上がったコナーとCTランク3位のフィリペ・トレドの対戦。
同ヒートのファンの結果予想は、やはりといった感じでフィリペが84%という圧倒的な差となりました。
なのでしたが、コナーによるオープニングライドは、美しいまでのレールゲームで8.50のエクセレントレンジとなるスコアをマーク。
一方のフィリペには動きがなく、ヒート中盤になってようやくファーストライドとなると、コナーに負けないレールゲームとスピーディーなスナップと緩急のメリハリがある見応えのあるライディングで8.40をマーク。
その後、フィリペがヒート終盤まで2本目の波に手が出せない一方、コナーは見せ場を変えてレフトの波に乗り5.83をマークしてリードを広げることに。
フィリペが波に乗ったのはヒート残り3分と言う時点で、ハイスコアを出すには厳しいミディアムサイズの少しタルい波。
ただ、この時点でフィリペが逆転に必要なスコアは4.61のミディアムスコアだったので、逆転だけを考えて手を出したのでしょう。
案の定、波はタルくカットバックの連続となり、これでは逆転は厳しいと思われたのですが、エンドセクションでフルローテーションをメイク。
これが半端ではなく、一般的にエアセクションとは言えないところで飛び出してフルローテーションまで回してしまいました。
この波であれば他のCTサーファーならばせいぜい5ポイント台が上限と思われる程度のスコアポテンシャルでしたが、フィリペは8.17をマークして逆転勝利をものにしました。
マッチ3はマッチ2を勝ち上がったフィリペとCTランク2位のイタロ・フェレイラの対戦。
同ヒートのファンの結果予想は、イタロの勝利が54%と拮抗していました。
オープニングライドはイタロで、バックサイドとなるライトに乗って5.17をマークしてスタート。
2本目のライドはフィリペで、ファーストターンで引っ掛かってもたついたものの、その後はコンペと言うよりも、フリーサーフィンのようなゆったりとしたライン取りながらもフルローテーションを2回もメイク。
波を余すことなく乗るコンペ向けの乗り方ではなかったためか、2回もフルローテーションをメイクしながらもコールされたスコアは7.33とエクセレントレンジに達しませんでした。
その後、イタロはヒート中盤に7.27をマークして追い上げるものの、フィリペはフローターでスライドさせるリップドリフト!?と言ったマニューバをメイクして8.50をマークしてリードを広げることに。
結果的に、その後はイタロがバックアップスコアをマークする事ができず、フィリペがタイトルマッチへと勝ち進む結果となりました。
ちなみに、2ヒート戦ったフィリペがこれまでに乗った波数は6本で、ワーストスコアは7.07。
ケリーが「ローワーズのフィリペはヤバい」と言っていた意味が分かりますね…。
マッチ3を勝ち上がったフィリペが、タイトルマッチで対戦となったのはCTランク1位のガブリエル・メディナ。
2人とも常にトップシードということで、あまり対戦の機会がないので面白いマッチアップと言えます。
同ヒートのファンの結果予想は、拮抗していたもののフィリペが52%というのは興味深かったです。
ヒート序盤、フィリペはターンメインのライディングで7.00をマーク。
エアリアルはなかったものの、ガブリエル以外との対戦ならばエクセレントレンジに達してもおかしくなかったと思うので、それだけハイレベルなジャッジ基準になっていたのかもしれません。
その後は中盤、ガブリエルがバックサイドでエアリアル無しのライディングで7.30をマーク。
ガブリエルによる7.30のマークから数分後にヒートが大きく動くことに。
まずはフィリペがプライオリティを持っていた事からレフトのセットに手を出し8.33をマーク。
おそらくフィリペの戦略で、バックサイドならエアーを入れなくても連続してクリティカルセクションを攻めればハイスコアが付くとの思惑があったのでしょう。
しかし、フィリペが乗った波の裏に入ったセットにガブリエルが乗り、エンドセクションでストレートエアーを入れたライディングにコールされたスコアは9.00。
その後はガブリエルのリードが続き、フィリペが逆転に必要なスコアは7.98。
そして逆転を狙いヒート残り5分ほどでライトのセットに乗り、素晴らしいライディングだったものの2本目のターンでのタイミングのズレが響いてかスコアは7.37で逆転には至らず。
タイトルマッチのヒート1はガブリエルが制する結果となりました。
後がなくなったフィリペはヒート2のオープニングライドで飛びまくり、ラストはワイプアウトしたもののスタートから7.83をマーク。
ただ、エアーに関しては負けていないガブリエルは、フロントサイドのミディアムサイズの波で2本のフルローテーションをメイクして8.50を叩き出すことに。
セットに乗らずしてこれだけのスコアをコールさせるなんて…。
エアリアルを2本メイクするのが当たり前な上、そのバリエーションがフルローテーションとレベルが桁違いです…。
こうなるとガブリエルはよりハイスコアを求めて、尋常じゃない高さのエアーを狙ったりとさらにレベルは異次元へ進むことに。
フィリペも並大抵のエアーでは勝てないことは分かっているので激しいチャージの応酬となり、ヒート中盤に大きな動きが。
ガブリエルが、CTイベントでは2度目となるバックフリップをメイクして9.03をマークして圧倒的な存在感をガッツリとアピール。
追うフィリペはその後、8.53をマークしたものの追いつくことが出来ず、ガブリエルが2連勝でタイトルマッチを制して2021年ワールドタイトルを獲得し、3×ワールドチャンピンに輝きました。
ワールドタイトルを獲得したガブリエルのコメントは以下となります。
サーフィンキャリアにおいて3×ワールドタイトルは僕にとって最大の目標だった。
夢を実現するのは簡単なことじゃないから、今日という日は僕にとってスペシャルだよ。
一生忘れないし、子供たちに語り継ぐだろうね。
今年はかなり強烈な年で、精神的にもチャレンジングだった。
パフォーマンスで見せるために地道なトレーニングはもちろんの事として、タイトル獲得に向けてひたすらサーフするよう自分に課したんだ。
イベント結果
Men’s Match 1: Conner Coffin (USA) 15.00 DEF. Morgan Cibilic (AUS) 9.84
Men’s Match 2: Filipe Toledo (BRA) 16.57 DEF. Conner Coffin (USA) 14.33
Men’s Match 3: Filipe Toledo (BRA) 15.97 DEF. Italo Ferreira (BRA) 12.44
Men’s Title Match, Heat 1: Gabriel Medina (BRA) 16.30 DEF. Filipe Toledo (BRA) 15.70
Men’s Title Match, Heat 2: Gabriel Medina (BRA) 17.53 DEF. Filipe Toledo (BRA) 16.36
イベントのフル動画
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公式サイト「WSL Finals」