今シーズンのWCT初戦「クイックシルバープロ」にて、昨年のパイプマスターズでの負傷により欠場となったビード・ダービッジに代わり、リプレイスメント出場で3位の成績を収めたスチュアート・ケネディ「Stuart Kennedy」(26歳)。
スチュアートが乗っているボードが、ケリー・スレーターのスレーターデザインズに採用されたトモ(Tomo)こと、ダニエル・トムソンのサイファイモデルという事もあり、大変注目を浴びました。
時の人となったスチュアートですが、以前はプロサーファー引退まで考えるほど苦しい時期を過ごしていたのです。今回の動画は、スチュアート・ケネディのこれまでの軌跡を振り返る動画をお届けします。
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オーストラリアでジュニア時代に大活躍していたスチュアート。10代でリップカールと5年契約を交わしたものの、当時を振り返るとプロ意識といった面については成熟しきれていなかったと言います。
リップカールからまとまった収入が入り、いつまでもお金が入り続けると錯覚したスチュアートは、家を購入して住宅ローンを抱え、奥さんは妊娠することに。
普通であれば幸せな瞬間ですが、そんな折にリップカールからスポンサー契約を切られてしまいます。つまり、サーフィンによる収入が途絶えたのです。それが、スチュアートが22歳の時の話。
その後、スチュアートは友達の紹介で慣れない肉体労働をしながら、夫婦二人三脚で住宅ローンの返済をしつつ、WCT入りを目指すものの、上手く歯車が合いません。
それもそのはず、パーフェクトなポイントブレイクのレノックスヘッドで育ったスチュアートの武器は、オープンフェイスで見せるパワフルなレールサーフィン。一方、WQSイベントの大半の波は、クローズアウトになる腰サイズ程度のビーチブレイク。
世界有数のサーフスポットで開催されるWCTイベントならば、十分に戦える自信を持っていたスチュアートですが、WCTとは別世界のいわゆるクソ波での開催が多いWQSイベント。
そのため、結果を出せず、常に金銭的プレッシャーのかかる日々。2014年10月、これを最後にしようとリラックスして向かったポルトガルでのWQSプライムイベント。すると、あれよあれよと勝ち上がり、準優勝してしまいました。
準優勝した事でハワイ行きと来年の遠征費を手にし、自信を付けたスチュアート。WQSランクも2014年は35位となったので、数々のサーフ企業に年間1~2万ドル契約でいいからスポンサーになって欲しいと売り込むものの、全く反応はなし。
そして迎えた2015年シーズン。WQSランク12位となり、後一つだけ順位が上であればWCT入りという無情の結果となります。しかし、ビードに変わってチャンスを掴み、結果を残しました。
現在のWCTは、リプレイスメント出場のサーファーであっても、年間WCTランクでトップ22に入れば、翌年のWCT入りの資格を得ることができます。
昨年のWCTランク22位と、ギリギリでツアー残留を決めたサーファーが全イベントで勝ち上がったヒート勝利数は10ヒート。現時点においてスチュアートは、WCT初戦で4ヒート、WCT第二戦で1ヒート勝ち上がり、すでに5ヒート勝ち上がっています。
現在はビードのリプレイスメント出場ですが、ビードが今シーズン復帰できるかは難しい所。そうなると、スチュアートが全イベントに出場する可能性は十分あり、来シーズンにツアー入りする可能性は高いです。
是非ともツアー入りしてもらいたいと思うと同時に、ここまで厳しい世界のプロサーファーの現状も知ってもらいたいと思いました。
今回の記事は、動画だけでなく下記の参照記事の内容も加えています。
参照記事:「How Close did Stu Kennedy Come to Quitting?」
スチュアート・ケネディの過去記事は、下記リンク先からチェックして下さい。
カレンやケリーも気に入る盟友トモのボードで来年はツアー入り!?:スチュアート・ケネディ
見分けられますか?サーフスタイルがそっくりなミック・ファニングとスチュアート・ケネディ