2016年12月に千葉県の釣ヶ崎海岸(志田下)がサーフィン会場に決定と発表されていた2020年東京五輪。
なのですが、AFPによると2018年5月22日(火曜)にISA(国際サーフィン連盟)のフェルナンド・アギーレ会長が再び「千葉の釣ケ崎海岸で行われることに決まった」と語ったと報道。
今回の記事は、すでに決定事項であったはずの釣ヶ崎海岸開催について再度発表を行った理由や会場決定までのこれまでの流れをお届けします。
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前提として一般的なスポーツとサーフィンの大きな違いは、コンテストの開催日時を事前に決定できない点。ワールドツアーイベントでは、ウェイティングピリオドと呼ばれる一定期間内(約2週間)でコンディションが最も良くなるタイミングでの開催となるためです。
そのため、これまでテレビでのライブ中継は不可能でした。いつ開催されるのか分からないので放送枠を確保することができないので。
また、開催日時が不明ということは観戦チケット販売もできません。近年では波予報の精度が上がっているものの、潮回りによって波が悪くなれば中断することもありますし、予報自体が外れることも珍しくありませんし。
東京五輪組織委員が示した収入割合として、チケット売り上げの割合は全収入の23%と大きいので、チケット販売ができず、テレビ中継もできないとなればオリンピック種目として全く向いてないと言えたサーフィン。
そんな中、スポーツとしてのサーフィンの弱点をすべて埋めてくれるゲームチェンジャーとなったのが、本格的な人工波を発生可能なモダンウェイブプール。
東京五輪でサーフィンが追加種目選定の段階で行われたヒアリングでは、モダンウェイブプールのリーディングカンパニーの一つであるウェイブガーデン社の取締役も出席していたので、ウェイブプール開催が視野に入っていると考えられていました。
なのですが前述した通り、IOC(国際オリンピック委員会)理事会にて2016年12月に釣ヶ崎海岸という海での開催が決まったと発表。
すでに海開催が正式決定となったものの、ウェイブプール開催を狙い続けていたのがワールドツアーを運営するWSL(ワールドサーフリーグ)。
WSLは11×ワールドチャンピオンであるケリー・スレーターによる現時点において世界最高峰と言われるウェイブプールを2016年5月に買収し、ここ最近ではソフィー・ゴールドシュミットCEOがオリンピックのウェイブプール開催を望んでいること、日本での建設予定も公言していました。
そして今年5月頭には国別対抗というオリンピックを意識したイベント「ファウンダーズカップ」を、ケリーのウェイブプール「サーフ・ランチ」にて初のパブリックイベントとして開催。
ただ、WSLはISAと協力関係にありますが、IOC承認団体としてオリンピック種目に向けてこれまで働きかけてきたのはISA。
WSLの動きについて、ISAのフェルナンド・アギーレ会長は海外サーフメディアに対して釣ヶ崎海岸開催が正式決定していたものの、「(会場について)あらゆる可能性がありえる」と答えていました。
この返答を見る限り、ウェイブプールが日本にできればウェイブプール開催もあり得ると思われる内容であったため、今回の報道に繋がったのでしょう。
これまでの流れを踏まえ、海開催と再度発表に至った理由の背景としては、サーフ・ランチの建設及びテストランといった準備が、東京五輪には間に合わないとの判断からではないかと個人的に感じます。
世界的に見てもウェイブプール建設は、用地取得から建設許可などのプロセスに膨大な時間が掛かり、建設発表時のスケジュールが何年も先延ばしになることが当たり前と言えるほど。
一例を挙げると、メルボルン(オーストラリア)でのウェイブプールは2016年前半に2017年後半のオープン予定と発表したものの、現在のオープン予定は2019年4月後半のイースターとなっています。
さて、海開催になるとテレビ中継やチケット販売についてはどのような扱いとなるのか気になるところです。
最後に今回のAFPの報道によると、これまで触れられていなかったウェイティングピリオドについて英語版記事で言及があり(日本語版では言及なし)、オリンピックの大会期間である7月24日~8月9日になるそうです。
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参照記事:「Surfing in the ocean at Tokyo Olympics: ISA president」