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Photo: Aaron Hughes/World Surf League

世界的に増えてきているサーファーによるサーファーのために生まれたハイレベルな人工波を発生させるモダンウェイブプール。

その最たる例が未だ商業施設としては存在しないものの、CT(チャンピオンシップツアー)イベント会場となっているケリー・スレーターによるサーフランチ。

ただし、海とは環境が異なるので色々と囁かれている情報があります。

今回の記事は、CI(チャネルアイランズ)ヘッドシェイパーのブリット・メリックによるシェイパー目線からのサーフランチについて語ったインタビュー記事をお届けします。


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ウェイブプールと言うと、商業施設としてのリーディングカンパニーはスペイン拠点のウェイブガーデン。

その他には、日本のサーフスタジアムに使用されている造波装置のAWM(アメリカンウェイブマシン)社も精力的。

商業施設としてのオープンはまだですが、オーストラリアのサーフ・レイクス、カナダのホワイトウォーターなども名乗りを上げています。

そんな競争激化の時代において、ブリットが感じたサーフランチに関するサーフボードにおけるコメントは以下の通り。

サーフランチにおけるサーフボードの問題は2点挙げられる。

まず波が非常にタイトだから、マニューバの繋ぎもクイックに行わなければならない。

リップも捲れる感じでタイトだから、波のペースに合わせるにはクイックな切り返しが可能なモデルが求められるんだ。

僕らはボードの長さを半インチほど短くして、テールロッカーを強め、フィン全体の位置関係を狭め、ボリュームを移動させることで調整した。

もう1点は、サーフランチの人工波はサイドや後方からプッシュされる形になり、ボトムからフェイスへと巻き上げるような水流とは異なる。

つまり、従来の海でのサーフィンに求められるボードデザインとは異なり、常にパワーポケットを意識して波のパワーを生かすことになります。

ウェイブプールは塩分がないからリッター値を増した方が良いとの指摘もあるけど、タイトな動きが求められるから逆にリッター値を落としても問題はない。

海での予測不能な点が無いのは寂しくもあるけど、サーフランチにはサーフランチらしいチャレンジがあって面白いね。

このレベルのコンテストやサーファーに向けてボードをシェイプするのが、僕にとっての原動力だから。

さて、個人的に最も興味深かったのは人工波のパワーが向かってくる向きで、これはサーフランチならではかと思います。

あくまでも素人考えですが、多くのウェイブプールが採用している造波装置は空気の圧力を使ったニューマティック方式。

なのですが、サーフランチは人工波とハイドロフォイルを並行させていて、並行させる点の最大の強みは波のパワーをキープさせることだと思います。

逆に、ニューマティック方式であれば、波の発生直後が最もパワーがあり、徐々にパワーは軽減していく事でしょう。

つまり、サーフランチは最強の人工波を作りながら、商業的に考えれば波の発生頻度に時間が掛かるなどのデメリットもあるのですが。

何はともあれ、色々と情報が広がればさらなる進化が見られることになるでしょう。

まだまだウェイブプール時代は序盤なので、今後のさらなる進展が楽しみになりますね。

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参照記事「Channel Island’s Britt Merrick Discusses the Design Tweaks in Boards Made for the Surf Ranch