2019年9月15日、宮崎県の木崎浜を会場としたISAワールドサーフィンゲームが終了しました。
優勝したのは、カリフォルニアでのパスポート紛失騒動から出場自体が危ぶまれていたイタロ・フェレイラ「Italo Ferreira」(25歳)。
ファイナルのイタロはパーフェクト10をスコアしたりと、ドラマティックな展開で幕を閉じる事となりました。
今回の記事は、ISAワールドサーフィンゲームのレポート、結果、動画などといった内容をお届けします。
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ISAワールドサーフィンゲームのレポート
今回はイベントレポートと言うよりも、主だった話題をいくつかピックアップしてみました。
イタロ・フェレイラの優勝までの軌跡
まさにイタロ劇場となった今年のISAワールドサーフィンゲーム。スタートはご存じの通り、日本行きのフライト搭乗日、ロサンゼルスでのパスポート紛失です。
ラウンド1でヒート残り時間10分を切った状態からの途中出場で参加しながらも、見事にラウンド1を1位通過という嵐のような幕開けでした。
その後のイタロは、メインラウンドを順調に勝ち上がっていったものの、セミファイナルでケリー・スレーター、ガブリエル・メディナ、コロヘ・アンディーノと対戦し4位敗退となることに。
ですが、ISAイベントはメインラウンドを敗退しても敗者復活戦(リパチャージ)というセカンドチャンスが与えられ、リパチャージのラストラウンドに出場したイタロは1位通過でしっかりとファイナル進出を決定。
ファイナルではガブリエル、コロヘ、村上舜を相手にしたイタロは、高さのあるバックサイドのエアリバースを仕掛け、ランディング後にあわやワイプアウトと見られたものの驚異のリカバリーで立て直してメイクし、パーフェクト10をスコア。
*イタロ・フェレイラのパーフェクト10
このパーフェクト10が決め手となり、今イベントにおけるイタロの壮大なるストーリーのエンディングは完璧な形で幕を閉じました。
個人的には、単発エアーにパーフェクト10を出したら、あのレベルのエアリアルを出せるガブリエルがもしも似たようなエアーをメイク、そしてターンとのコンビネーションにしても同じスコアになるので、スコア上限の余地を残さなかったと言う点で微妙な感じもしましたが…。
ISAイベントをしっかりとチェックしたのは今回が初めてでしたが、全体を通してジャッジ基準がかなり不明瞭な印象を受けました。
なんだかんだ言っても、ファイナルが終わってみればイタロのエアリバースはダントツで強烈なインパクトを残したのですが。
フィリペ・トレドの腰
イベント最終日となった本日のヒートを棄権することになったフィリペ。腰を痛めたことが原因とのこと。
昨日のヒート終了後、海から上がってきたフィリペの歩くスピードがやけに遅かった上、立ち止まって腰に手を当てたりしていたので気にはなっていたのですが…。
フィリペの勝利にストークし、そんな考えに及ばなかったイタロは、ビーチに戻ってきたフィリペにじゃれ始めていましたが、実際のところ、フィリペはそれどころじゃなかったようです(笑)。
腰を痛めたということで、気になるのは19日からサーフランチで開催となるCT(チャンピオンシップツアー)イベントのフレッシュウォータープロへの出場について。程度が酷くないことを願っています。
ケリー・スレーターのツインフィン
ケリーの出場と言うことで大いに盛り上がった今イベント。興味深かったのは、サイズアップした週末前まではツインフィンに乗っていたのです。
本人もインタビューで、ツインフィンでのコンテスト出場は何十年振りとか口にしていたので、普段は基本的にスラスター(ビッグバレルイベントではクアッド《4フィン》も使用)。
「波が小さいからツインフィンが調子が良いんだよ」なんて言ってましたが、今年頭にシドニーエリアで開催されたQS(クオリファイング)イベントのヴィスラプロに参戦した時も小波で、スラスターではなかったものの、ツインフィンではありませんでした。
まず、対戦相手を見てツインフィンでも勝てると思い、ツインフィンで挑んだのは間違いないでしょう。では、なぜツインフィンを出したのか?
おそらくケリーブランドのスレーターデザインズから新たにリリース予定のモデルのプロモーションではないでしょうか。ボード説明欄には「ISAイベントで勝ち進んだボード」といった記載が行われると思います(笑)。
基本的に、ツインフィンはスラスター(3フィン)とは違いセンターフィンがないので、縦への動きは厳しいです。ツインフィンだと横の動きとスピードは抜群ですが。
コンテストサーフィンでは波のフェイスを余すことなく使うことでマニューバの数を増やしたり縦へのアプローチでジャッジにアピールするので、ツインフィンを使うことはまずあり得ないのですが(セクションを無駄にしてしまう可能性が高いため)、ツインフィンでも勝ち進んだのはケリーならではですね。
大陸枠の暫定オリンピック出場権
アジア、ヨーロッパ、オセアニア、アフリカの4大陸で最上位となったメンズサーファーは以下の通り。
・ヨーロッパ:フレデリコ・モライス(ポルトガル)
・オセアニア:ビリー・ステアマンド(ニュージーランド)
・アフリカ:ラムジ・ボウキアム(モロッコ)
日本を例に挙げると、日本人メンズは五十嵐カノアがCTランクからの出場権獲得がほぼ確定、今イベントで村上が暫定出場権を獲得。
2020年ISAイベントにも今回と同じメンバー出場となれば、大原洋人が来年のイベントでトップ5入りして出場権を得れば、各国2名参加が上限なので、イベントの階層レベルが2020年ISAイベントよりも低い2019年ISAイベントで暫定出場枠を獲得した村上の暫定出場権は消失となります。
今回のアジア枠は予想通りに日本とインドネシアの戦いとなり、村上とインドネシア代表の和井田理央(日本とインドネシアのハーフ)の戦いが熱く、イベント最終日までもつれ込み、村上に敗れたものの和井田は9位。
来年はCTランクからオリンピック出場権を得たCTサーファーが出場し、そのCTサーファーたちが数多く上位に入ることでしょう。
となると、すでに出場権を得たサーファーがみなファイナリスト入りすれば、繰り上げで5位から9位までのサーファーが出場権を得ることとなります。
つまりは、今回のような活躍を見せれば和井田のオリンピック出場も現実的にあり得ることなので、頑張ってもらいたいものです。
まとめ
これまでに見ることのできなかったCTサーファーのISAワールドサーフィンゲーム出場と言うことで歴史的イベントとなりました。
残すところ、オリンピック選考となるイベントは来年2020年ISAイベントのみなので、そちらも楽しみにしたいところです。
*2019年ISAワールドサーフィンゲーム国別結果
*イベント最終日ハイライト動画
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公式サイト「ISAワールドサーフィンゲーム」