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Photo: WSL/Sloane

現地時間2019年12月19日(ハワイ)、オアフ島ノースショアのバックドア/パイプラインを舞台にしたメンズCT最終戦「Billabong Pipe Masters(ビラボン・パイプ・マスターズ)」が終了。

パイプマスターズ優勝でパイプマスターとなったのはイタロ・フェレイラ、ワールドチャンピオンに輝いたのもイタロ。

今回の記事は、パイプマスターズのイベントレポート、動画、2019年CTランキングといったニュースをお届けします。


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パイプマスターズのイベントレポート

ラウンド4からスタートしてファイナルまで行った本日。ドラマ続きで息を付く暇もないほどの展開となりました。

本日のオープニングヒートとなるラウンド4ヒート1に出場したのは、タイトルレースを争っているイタロ・フェレイラ。

波的にはなかなかハイスコアを出せない難しいコンディションではあったものの、ミディアムスコアを2本揃えて無難にラウンドアップ。

イタロがラウンド4を勝ち上がった時点で、コロヘ・アンディーノはタイトルレースから脱落となりました。

ヒート4ではケリー・スレーターがセス・モニーツと対戦。トリプルクラウンとオリンピック出場を狙うケリーは、オープニングライドで5.83をマーク。

バックアップスコアは1.50と厳しかったものの、セスもベストスコアが4ポイント台と互いに厳しい状況であったのは同じで、ケリーが競り勝つ結果となりました。

セスはケリーに敗れはしたものの、ツアールーキーの中で最高位でシーズンを終えたので、2019年ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得となっています。

衝撃的だったのがヒート5に出場したタイトルレースを争うガブリエル・メディナとカイオ・イベリのヒート。

このヒートもロースコアの展開となり、ヒートをリードしていたガブリエルのトータルスコアはわずか6ポイント台と、カイオは一本でもグッドウェイブに乗れれば逆転は十分にあり得ました。

そして迎えたヒート終了間際。ヒート残り時間が1分以内となった時、カイオがプライオリティを持った状況でセットが入ってくることに。

カイオの逆転が十分にあり得るタイミングで、ガブリエルが選んだ戦略はインターフェアを取られるもののドロップイン(前乗り)でのブロック。

インターフェアの罰則はセカンドベストウェイブのスコアがノーカウントになるものの、シチュエーションとしてはガブリエルは罰を受けてもカイオのトータルスコアを上回っていました。

つまり、確実に勝ち上がるために敢えてインターフェアを犯したのです。ワールドタイトルが掛かっているとは言え、スポーツマンシップという観点からすれば微妙ですね…。

ちなみに、波打ち際でガブリエルに指示を出していた義父のチャーリーもガブリエルに対して「波に乗らせるな」と叫んでいたとか…。

カイオとガブリエルと言えば、ポルトガルでのインターフェア問題で揉めたものの、カイオが譲歩となるSNS投稿をしたばかりでした。

ヒート終了後にカイオもインタビューを受け、インターフェアされた直後にガブリエルに詰め寄ったそうですが「悪かった」と言われただけだったそうです。

衝撃のヒート後となるヒート6にはオリンピック出場権のために出場したジョンジョン・フローレンスが、トータルスコア5.66ながらもソリ・ベイリーを相手にラウンドアップ。

クオーターファイナルに進むと、ヒート1ではイタロがエクセレントレンジとなる8.83をスコアし、安定したパフォーマンスでセミファイナル進出を決定。

ヒート2にはケリーが登場し、対戦相手はジャック・フリーストーン。ジャックは優勝すればオーストラリア枠のオリンピック出場権とトリプルクラウンのチャンピオンになるので重要なヒート。

ジャックはヒート中盤で7ポイント台をマークしたのに対し、ケリーは全く良いところを見せる事ができずヒート終盤までジャックがリードすることに。

しかし、ただでは終わらないケリー。ヒート残り時間が5分を切ったところで、まずはパイプのバレルをメイクして6.67をマーク。

その後は残り時間1分を切ったところでバックドアのバレルをメイクして6.27を叩き出し、残り時間数分にしてシチュエーションをひっくり返しての逆転劇を演じてしまいました。

ジャックが敗退した時点で、オーストラリア枠のオリンピック出場権はジュリアン・ウィルソンに決まりました(もう一人はすでに決定していたオーウェン・ライト)。

続いてのヒートは、ガブリエルとジョンジョンという2×ワールドチャンピオン同士の対戦。どちらもパイプラインを得意とするのでまさにスーパーヒート。

このヒートではガブリエルがエクセレントレンジを2本揃える圧巻のパフォーマンスを見せた一方、ジョンジョンはタイトルレースをかき乱すことなくあっさりと敗退。

膝にサポーターを付けた出場していることから完治していないことは間違いなく、今回のパイプマスターズではクオーターファイナルまで勝ち上がったものの、ジョンジョンらしい凄みはあまり見られませんでした。

クオーターファイナルの最終ヒートには、ケリーと同じくトリプルクラウンのチャンピオンになれる可能性があったミシェル・ボウレズが出場したものの、グリフィン・コラピントを相手に敗退。

この時点で、今年のトリプルクラウンのチャンピオンはケリー・スレーターに決定となりました。半端じゃない47歳・・・。

セミファイナルのヒート1はイタロとケリーのヒート。イタロには同じビラボンライダーのシェーン・ドリアンがコーチとして付いていて、シェーンとケリーはかつてのライバルでもあるので不思議な感じです。

ヒートはパイプでエクセレントレンジを含むスコアを出したイタロに対し、ディープなポジションからバックドアを狙うケリーといった構図。

ただ、バックドアは出口の閉じてしまうバレルが多く、だからこそメイクすればハイスコアに繋がるとケリーは考えていたのかもしれません。

でしたが、ケリーは最終的にまともなスコアを出すことができず、セミファイナルで敗退と言う結果に。

ケリーは優勝できなかったので、この時点でアメリカ枠のオリンピック出場権はジョンジョンに与えられることになりました。

ヒート2はガブリエルとグリフィンのマッチアップ。このヒートもレギュラーフッターとグーフィーフッターの戦いとなり、ガブリエルが8.00をマークして勝利。

イタロにせよガブリエルにせよ、安定してエクセレントレンジを叩き出すパフォーマンスは、CTサーファーの中でもずば抜けていてネクストレベルです。

ワールドタイトルを賭けたガブリエルとイタロの直接対決となったファイナル。ここまで勝ち上がってくるとは、二人とも相当なまでにメンタルが強いです。

この二人となればパーフェクト10を出せるだけのスキルがあるだけに、終了間際であっても逆転があり得るのでハラハラするヒートとなりました。

ヒートは7ポイント台と6ポイント台は早々にマークしたイタロがリードする展開となり、ベストシングルスコアはほぼ同じくらいで、ガブリエルが逆転に必要なスコアは6ポイント台。

後にイタロはバレル×エアリバースでさらなる7ポイント台をマークし、ガブリエルに求められたスコアは7.80と上がったものの、ガブリエルならば十分に出せるスコア。

でしたが、ガブリエルは最後の最後でらしさを見せず、イタロが初パイプマスターと初ワールドチャンピオンに輝く結果となりました。

宮崎で開催されたISAイベント優勝と言い、今年は完全にイタロイヤーになったと言える結果ではないでしょうか。

本日の結果

イベントハイライト動画

2019年CTランキング

ガブリエルがブラジリアン初のワールドチャンピオンとなったのが2014年のことで、あの年から6シーズンを終え、ブラジリアンがワールドタイトルを獲得したシーズンは4回。

ブラジリアン以外でワールドチャンピオンになったのはジョンジョンのみというわけなので、いかにブラジリアンが強いのかが分かります。

来シーズンはジョンジョンが再びストップをかけるのか、またもやブラジリアンがタイトルを獲得するのか注目です。

まとめ

オリンピックイヤーとなる2020年のCTがスタートするのは、オーストラリアのゴールドコーストで3月26日からとなります。

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公式サイト「Billabong Pipe Masters

2019年パイプマスターズの過去記事