フィンのセットアップに関する歴史をたどると、現在、最もスタンダードなセットアップとして知られるスラスター(トライフィンとも呼ばれる3フィン)のプロトタイプが生まれたのが1980年のこと。

当時は、ワールドツアーを回るコンテストサーファーでありながら、シェイパーというスタイルのサーファーも多かったそうですが、その中の一人であったサイモン・アンダーソン。

サイモンは、当時の主流であったツインフィンでのサーフィンが合わず、コンテスト結果が振るわなかったため、スラスターを考案したそうです。そしてプロトタイプ製作の翌81年、スラスターに乗って自分本来のライディングが可能になると、再びツアーイベントで優勝を果たすようになり、世界中でスラスター人気が爆発したと言います。

現在のツアーサーファーを見ても、やはりスラスターが主流となっているので、素晴らしい発想だったと言えますね。しかし、どんな時代であっても、新たなチャレンジを試みるものは存在します。

今回の動画は、オーストラリア出身のトビアス・スミス(Tobias Smith)が、従来とは異なる発想でフィンのセットアップを考案し、特許取得に至ったジグフィン(Zigfin)の映像となります。


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ジグフィンとは、通常であれば一枚のフィンを装着するプラグに、小型のフィンを二枚装着し、デュアルフィンにするという発想。つまり、ツインフィンにジグフィンを付ければ4枚、トライフィンならば6枚と、フィンの数が倍になります。

ただし、個人の好みにより、フィンの付け方はアレンジ可能。例えば、トライフィンの場合、センターフィンだけデュアルフィンにしたり、サイドフィンだけデュアルフィンにするのもアリのようです。

トビアスが、このようなフィンのあり方を考えるようになったのは、高校生であった90年代後期。時代は、スラスターが当たり前といった頃ですね。試行錯誤であった当時は、「4枚以上のフィンを付けるなんて有り得ない」と、笑われたりもしたそうです。

しかし、時代が流れると、クアッド(4フィン)が当たり前になりました。また、ケリー・スレーターに至っては、クアッドにナブスター(Nubster:小さめのセンターフィン)を加え、5フィンにしたりと多様化しています。

気になるジグフィンですが、フィンの枚数が増えると、水に対する抵抗が増しそうに思いますが、フィン自体が小さいためか問題ないそうです。利点は、コントロール性能が高まる点と言います。特に、トリックをするには最適だそう。

トビアスが考える最適な利用者は、キッズだと言います。コントロール性能が高くなるため、簡単にアクションが入れやすくなり、感覚を覚えるのには持ってこいといった事なのかと思います。

王道とは言えないセットアップであることから、すぐに流行するとは思えませんが、誰もが納得の性能となれば、数年後には人気が高まる可能性も否定できません。果たして、ジグフィンの未来はどうなるのか楽しみですね。

詳細については、下記リンク先の公式サイトからチェックして見て下さい。

公式サイト「Zigfin