今年だけで13件のシャークアタックが発生したオーストラリアNSW(ニューサウスウェールズ)州。特に、NSW州北部のバリナ~バイロンベイ間で多く発生し、住民からは駆除の声が相次いだほどです。
増加するシャークアタック対策としてサメの殺処分に揺れる豪NSW州北部
しかし、なかなか対策に踏み込むことのできなかった行政。ですが、ようやく動きがありました。その理由としては、先月9月後半、NSW州シドニーにおいて、サメの権威者が集まるシャークサミット開催が大きなきっかけとなったのです。
今回の記事は、NSW州が州全体のビーチにおいてシャークアタックを防止するため、どのような対策を講じることになったのかお伝えします。
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NSW州政府のニール・ブレア第一次産業相によると、シャークアタックを予防するため、NSW州は1,600万ドル(現為替レートにおいて14億円弱)ものコストを費やすと発表しました。
対策手段としては、ドローンやヘリコプターを使った上空からの監視、水中に音波探知機を設置する事でサメがビーチに接近しているのか確認できる「クレバー・ブイ」の設置、タグを付けたサメの動きをリアルタイムでチェックできるアプリの利用。さらに、物理的な手段として、バリアネットの設置も考えているそうです。
様々な対策方法が挙げられていますが、NSW州には2,000キロ以上に及ぶビーチが広がっています。エリアによって、有効な対策が異なるケースが十分に考えられるため、5年計画の中でテストにテストを繰り返し、ベストな手段を探るとのこと。
これまで、シャークアタックに関しては、完全なる予防法はないと言われていましたし、シャークアタックが増加した理由も明白ではありませんでした。というのも、世界的に見ても、発生件数自体が交通事故などと比較すると、圧倒的に少ないためです。
世界で発生した過去のシャークアタック件数&安全を確保するための対策
つまり、本格的に対策に乗り出さないというよりも、まとまった予算を割り当てられることもなく、真剣に鮫問題解決について動き出せる環境ではなかったからではないでしょうか。
しかし、5年計画という世界初のビッグプロジェクトとして、シャークアタック問題に取り組むことになったNSW州。このプロジェクトが上手く行き、世界中のビーチへとノウハウが伝わっていけば、安心して海に入ることができるので、進展が気になる所です。